トビウオ亜目内におけるサヨリ科魚類の系統学的位置の推定
○函館太郎・北斗花子(函館山高等学校)
サヨリ科はダツ目トビウオ亜目に属し,2亜科(サヨリ亜科とコモチサヨリ亜科)13属約120種からなる分類群で,世界の熱帯域から温帯域の海水から淡水に広く分布する.本研究はトビウオ亜目に属するサヨリ科12属12種,トビウオ科4属4種,ダツ科1属1種およびサンマ科1属1種と,ダツ目メダカ亜目メダカ科,カダヤシ目カダヤシ科およびトウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ科から各1属1種の全骨格系の比較解剖と外部形態の観察に基づき,トビウオ亜目内におけるサヨリ科魚類の系統的位置を推定し,その結果を基に分類体系の再構築を行うことを目的とした.系統解析はトビウオ亜目を内群として,メダカ亜目,カダヤシ目とトウゴロウイワシ目を外群として,60個の形質変換系列を基に解析を行った.その結果,サヨリ科は非単系統群となり,コモチサヨリ亜科の3属(Dermogenys属+Hemirhamphodon属+Nomorhamphus属)からなるクレード,コモチサヨリ亜科コモチサヨリ属からなるクレード,サヨリ亜科の5属(Arrhamphus属+Chriodorus属+サヨリ属+Melapedalion属+Rhynchorhamphus属)からなるクレード,サヨリ亜科ホシザヨリ属からなるクレード,サヨリ亜科トウザヨリ属からなるクレードおよびサヨリ亜科サヨリトビウオ属からなるクレードに分かれることが明らかとなった.得られた系統類縁関係に基づいて,トビウオ亜目にトビウオ科(従来のトビウオ科+従来のサヨリ亜科),コモチサヨリ科(コモチサヨリ属のみ),Dermogenyidae科(Dermogenys属+Hemirhamphodon属+Nomorhamphus属),ダツ科(従来のダツ科のみ)およびサンマ科(従来のサンマ科のみ)を認めた. |