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「絶体絶命の淡水魚イタセンパラ-川とともに守る」
日本魚類学会主催

日時: 2009年7月18日(土) 10時30分~17時00分
場所: 琵琶湖博物館ホール
滋賀県草津市下物町1091
アクセス
JR琵琶湖線草津駅から近江鉄道バス・烏丸下物線烏丸半島行きで
琵琶湖博物館前へ(http://www.lbm.go.jp/guide/bypub.html
入場: 無料
対象: 高校生以上

シンポジウムの目的と概要
 イタセンパラは,コイ科タナゴ亜科に属するわが国固有の淡水魚である.この魚は,雨季には洪水をもたらすという東アジアモンスーン気候が特徴づける,河川下流域の氾濫原の環境に見事に適応した生活環をもつ.かつては大阪平野,濃尾平野,富山平野に広く分布していたが,河川周辺の改修や利用により,ここ数十年間の間に分布域全域で急減している.それに対し市民・行政レベルで早くから本種の保護活動が始められ,また淡水魚では初の国指定天然記念物に,環境省レッドリストでも当初より絶滅危惧種に指定されてきた.なかでも淀川下流域はイタセンパラの象徴的な生息水域として,市民・行政・研究者が連携して保全に取り組んできた.しかし,そのような努力にもかかわらず,淀川下流域では,この数年,本種の生息がまったく確認されず,きわめて危険な状況となっている.イタセンパラの危機は,本種のみならずわが国の本来の流域環境や生物の多様性が急速に失われつつあることの証と受け止める必要がある.
 本シンポジウムでは,イタセンパラの生態と河川環境のかかわりについて理解を深め,市民,研究者,および河川管理者等の行政が相互に意見の交流を図りながら,その復活への道筋を見いだすことを主眼とする.併せて,本種を具体例として今後の河川行政や生物多様性保全に大きく寄与したい.そのために,本種の系統保存から流域管理にいたるまで,まずは各地の保全現場にいる市民,研究者,行政等いろいろな立場から語ってもらい,本種の保全に関わる問題点を参加者間で共有する.そのうえで,パネリストと一般参加者が同じ土俵で議論を進め,本種復活のシナリオをともに探る.以上を通じて,一般参加者の生物多様性保全に対する意識高揚を図り,今後の河川行政や生物多様性保全のあり方についても一定の方向性を見出すことをめざす.

プログラム
第一部 講 演 ―淀川とイタセンパラ―
 淀川の環境変遷-この40年でおこったこと:河合典彦(淀川水系イタセンパラ研究会)
 イタセンパラはどんな魚か:小川力也(淀川水系イタセンパラ研究会)

第二部 話題提供 ―現場からの報告―
 濃尾平野のイタセンパラの現状と危機:
  外来種との戦い:森 誠一(岐阜経済大学)
 富山平野のイタセンパラの現状と危機:
  地域における希少魚保全の展開:西尾正輝(氷見市教育委員会)
  イタセンパラの系統保存と再導入の展望:上原一彦(大阪府水生生物センター)
  本来の川,現在の川,将来の川:萱場 祐一((独)土木研究所自然共生研究センター)

第三部 パネルディスカッション ―イタセンパラ復活に向けて―
 ・司会進行 細谷 和海 (日本魚類学会 自然保護委員会委員長)
 ・パネリスト:
  河合典彦(淀川水系イタセンパラ研究会)
  小川力也(淀川水系イタセンパラ研究会)
  西尾正輝(氷見市教育委員会)
  萱場祐一((独)土木研究所自然共生研究センター)
  小俣 篤(国土交通省近畿地方整備局淀川河川事務所)
  ほか
 ・コメンテーター
  宮本博司(前淀川水系流域委員会委員長)
  上原一彦(大阪府水生生物センター)
  森 誠一(岐阜経済大学)
  ほか
問い合わせ先
前畑政善
〒525-0001 滋賀県草津市下物町1091
電話:077-568-4811 (代表)  FAX:077-568-4850
電子メール:maehata@lbm.go.jp