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2017年度日本魚類学会公開シンポジウム  
市民公開講座
「第3の外来魚問題」―人工改良品種の野外放流をめぐって―

2017 年度日本魚類学会市民公開講座の開催報告

要旨集(PDF)のダウンロード

開催日時:
2017年7月15日(土) 13:00-17:00
開催場所:
近畿大学東大阪キャンパスアカデミックシアター
〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1
近鉄大阪線「長瀬駅」下車,徒歩約10分
http://www.kindai.ac.jp/about-kindai/campus-guide/access_higashi-osaka.html
参加費:
無料
主催:
日本魚類学会
協力:
近畿大学

 外来種の侵入は生物多様性にとって最大の脅威の一つである。とりわけ陸水域という閉ざされた空間にすむ淡水魚類にとって外来種の影響は大きい。一般に思い浮かべる外来魚といえば,ブラックバスやブルーギルのような外国由来の魚類,つまり「国外外来魚」であろう。しかし,外来種と在来種は国境の内外で区別するのではなく,個々の種の自然分布域の内外で区別するべきである。このことは日本在来の魚類であっても従来の分布域を超えて他地域に移殖されれば外来魚に転じることを意味し,これらは「国内外来魚」と呼ばれる。国外外来魚も国内外来魚も野生種であることに変わりがない。一方,我が国では,河川・湖沼にヤマトゴイ,錦鯉,金魚,ヒメダカのような交雑または選抜により作出された人工改良品種が,さまざまな目的で無秩序に放流されてきた経緯がある。それらの自然環境への影響は小さくないものと危惧され,人工改良品種は,国外外来魚,国内外来魚に次ぐ,いわば「第3の外来魚」として位置づけられる。しかし,昨夏話題となった自然河川への金魚放流行事騒動の際にみられたように,人工改良品種の野外放流が,市民に肯定的に受け入れられることも多い現状にある。本公開講座では,人工改良品種の放流の影響について科学的に検討し,生物多様性保全の視点から問い直したい。

<プログラム>
第一部 基調講演
国外外来魚,国内外来魚,そして第3の外来魚 細谷和海(近畿大学)
第二部 話題提供:人工改良品種の野外放流が及ぼす影響
1)メダカ改良品種による野生集団の遺伝的攪乱 北川忠生(近畿大学)
2)日本の河川におけるコイ養殖品種の現況 馬渕浩司(国立環境研究所琵琶湖分室)
3)金魚養殖の現状と課題 根来 央(神戸市・金魚研究家)
4)特定外来生物の解釈とサンシャインバス 曽宮和夫(環境省野生生物課)
第三部 パネルディスカッション:隠れた外来魚問題をどう解決するか
コーディネーター:
渡辺勝敏(京都大学)・細谷和海(近畿大学)
パネリスト:
・北川忠生(近畿大学)
・馬渕浩司(国立環境研究所琵琶湖分室)
・根来 央(神戸市・金魚研究家)
・曽宮和夫(環境省野生生物課)
・山口正吾(月刊アクアライフ編集部)
問い合わせ:
森 誠一(日本魚類学会自然保護委員会委員長)
〒503-8550 岐阜県大垣市北方町5-50
岐阜経済大学地域連携推進センター
TEL:0584-77-3511 FAX 0584-81-7807
電子メール smori@gifu-keizai.ac.jp

日本魚類学会会長 桑村哲生