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京都府亀岡市のアユモドキ生息地における大規模開発にかかる
環境保全対策に関する質問
 
  平成26年5月12日  
亀岡市都市計画公園及び京都スタジアム(仮称)に係る
環境保全専門家会議
委員長 村上興正様
日本魚類学会 自然保護委員会
委員長 森 誠一
   亀岡市都市計画公園及び京都スタジアム(仮称)に係る環境保全専門家会議におきましては、昨年5月以来、国の天然記念物で「種の保存法」指定種である絶滅危惧種アユモドキをはじめ、計画地周辺の貴重な生物ならびに生態系の保全のために科学的・合理的な見地を基軸にご検討いただいておりますことを、心から敬服し感謝申し上げます。
 日本魚類学会も、一昨年12月に京都府知事が突如、近畿地方に唯一残るアユモドキの生息地での大規模スポーツ施設の建設計画を発表して以来、生物多様性保全の観点からこの計画に強い懸念をもち、翌平成25年3月と5月に京都府と亀岡市に要望書を提出し、同年12月には地元自治会長からの要望書に回答を行っております。また京都府と亀岡市からは、本問題に関しては「亀岡市都市計画公園及び京都スタジアム(仮称)に係る環境保全専門家会議」(以下、環境保全専門家会議)で検討を行い、その意見を聞くと回答を受けましたので、これまで公開された会議録に基づき、議論や検討の動向を注意深く見守ってきたところです。
 しかしながら、昨年9月に開催された第6回の会議開催概要が11月末にようやく公開されて以来、さらに5ヶ月以上を経ても、環境保全専門家会議の検討内容が公開されない状況が続きましたことなど、私どもを含めアユモドキとその生息地周辺の環境および生態系の行方に関心ある者の行政対応に対する疑義や不信感がつのる事態となっております。この期間に、新聞報道等により、当該地の都市計画決定が急ぎ進められていること、多額の予算が本計画のために計上、執行されていることが伝えられ、このままでは、我が国の生物多様性保全国家戦略に大きく離反するこの大規模開発が、十分な対策が講じられないまま現実のものとなるのではないかという懸念が深まっております。
 そこで、このたび、環境保全専門家会議が発足されて丸一年となりました機会に、本計画における環境保全対策の内容や検討の進捗状況について、専門家会議に直接伺いたいと考えております。つきましては下記の6項目に関し、これまでの環境保全専門家会議の議論を踏まえ、専門家会議(もしくは委員長)の現状のご意見、ご意向を回答いただけますよう、お願いする次第です。
 
 
(1) 環境保全専門家会議は、アユモドキ等の生息地にスタジアムを建設することを大前提として、保全策を検討されているのでしょうか。
(2) 1年経った現在、どのような調査と保全策の検討がなされ、その結果、どのような方策によって希少種と環境の保全を実現する方針なのか、その大筋をご説明ください。
(3) 現時点で、計画地にスタジアムを建設した場合に、部分的な「共生ゾーン」等の整備により、アユモドキ等との共生を図ることができるとする根拠はあるのでしょうか。
(4) 予定されている2年間(今年度まで)の調査・検討によって、環境影響予測と保全策の立案を科学的・合理的な根拠に則って行うことができる見込みはあるのでしょうか。
(5) 当地におけるアユモドキ等の存続のために、スタジアム建設以外に開発整備事業などにおいて検討すべき大きな問題はありますか。そのような問題がある場合、環境保全専門家会議では、それらに対する検討を行っておられるでしょうか。
(6) 環境省、文化庁等の公官庁、学術団体、保全団体等が、本問題に対して今後果たすべき役割について、どのようなお考えがおありでしょうか。
 
   なお、ご多忙のところ大変申し訳ありませんが、平成26年6月中旬をめどに書面にて具体的にご回答をいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。また、本質問状の全文を当学会ウェブページで公開しておりますことを申し添えます。  
<本件に関する問い合わせ先・回答返送先>
日本魚類学会 自然保護委員会 委員長 森 誠一
〒503-8550 大垣市北方町5-50
岐阜経済大学地域連携推進センター
電子メール:smori@gifu-keizai.ac.jp