日本魚類学会 English
学会について 委員会 お知らせ/情報 行事案内 出版物 お問合せ
日本産魚類の差別的標準和名の改名最終勧告  
日本産魚類の差別的標準和名の改名最終勧告
(2007年1月31日,日本魚類学会評議員会により承認; もとの和名は原則として中坊編(2000)による;そうでない場合は,説明を加えた;改名済み1種を含む)

 
【Myxini】
Myxini  メクラウナギ綱  →  ヌタウナギ綱
目・亜目 Myxiniformes メクラウナギ目  →  ヌタウナギ目
科・亜科 Myxinidae メクラウナギ科  →  ヌタウナギ科
Myxine メクラウナギ属  →  ホソヌタウナギ属
M. garmani メクラウナギ  →  ホソヌタウナギ
M. paucidens オキナメクラ  →  オキナホソヌタウナギ
新和名の説明・他 綱から科までの名称は既存名を適用.属・種の名称はEptatretusヌタウナギ属よりも体が細いことによる.なお,中坊編(2000)では本科魚類に別属としてParamyxineクロメクラウナギ属が含まれているが,Fernholm (1998)によりEptatretusの新参異名とされているので,ここではその見解に従った.
Myxini  メクラウナギ綱  →  ヌタウナギ綱
目・亜目 Myxiniformes メクラウナギ目  →  ヌタウナギ目
科・亜科 Myxinidae メクラウナギ科  →  ヌタウナギ科
Eptatretus ヌタウナギ属
E. atami クロメクラウナギ  →  クロヌタウナギ
新和名の説明・他 綱から科までの名称は既存名を適用.属・種の名称はEptatretusヌタウナギ属よりも体が細いことによる.なお,中坊編(2000)では本科魚類に別属としてParamyxineクロメクラウナギ属が含まれているが,Fernholm (1998)によりEptatretusの新参異名とされているので,ここではその見解に従った.
【Chondrichthyes】
Chondrichthyes 軟骨魚綱
目・亜目 Carcharhiniformes メジロザメ目
科・亜科 Pseudotriakidae オシザメ科  →  チヒロザメ科
Pseudotriakis オシザメ属  →  チヒロザメ属
P. microdon オシザメ  →  チヒロザメ
新和名の説明・他 深海性のサメであることから,深い海を表すチヒロ(千尋)を採用.
【Osteichthyes】
Osteichthyes  硬骨魚綱
目・亜目 Anguilliformes ウナギ目    
科・亜科 Synaphobranchidae ホラアナゴ科  →  リュウキュウホラアナゴ亜科
Ilyophinae メクラアナゴ亜科
Dysomma メクラアナゴ属  →  アサバホラアナゴ属
D. anguillare メクラアナゴ  →  アサバホラアナゴ
新和名の説明・他 亜科名は本亜科にIlyophisリュウキュウホラアナゴ属を含むことによる.種名はホラアナゴ科魚類としては,比較的生息深度浅いことによる.
Osteichthyes  硬骨魚綱
目・亜目 Anguilliformes ウナギ目    
科・亜科 Cyematidae セムシウナギ科  →  ヤバネウナギ科
Cyema ヤバネウナギ属    
C. atrum ヤバネウナギ    
新和名の説明・他 日本産本科魚類はヤバネウナギ1種のみであることから,科名についてもこの名称を採用.
Osteichthyes  硬骨魚綱
目・亜目 Clupeiformes ニシン目    
科・亜科 Clupeidae ニシン科  
Spratelloides キビナゴ属  
S. atrofasciatus バカジャコ  →  リュウキュウキビナゴ
新和名の説明・他 本種は日本では沖縄県のみに分布することから.
Osteichthyes  硬骨魚綱
目・亜目 Myctophiformes ハダカイワシ目    
科・亜科 Myctophidae ハダカイワシ科  
Nannobrachium トンガリハダカ属  
N. sp.1 テナシハダカ  →  ヒレナシトンガリハダカ
新和名の説明・他 胸びれがないことから.
Osteichthyes  硬骨魚綱
目・亜目 Ophidiiformes アシロ目    
科・亜科 Bythitidae フサイタチウオ科  
Oligopus セムシイタチウオ属  →  セダカイタチウオ属
O. robustus セムシイタチウオ  →  セダカイタチウオ
新和名の説明・他 他属に比較して体高が高いことから.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Lophiiformes アンコウ目  →  カエルアンコウ亜目
Antennarioidei イザリウオ亜目
科・亜科 Antennariidae イザリウオ科  →  カエルアンコウ科
Antennatus イザリウオモドキ属  →  カエルアンコウモドキ属
A. tuberosus イザリウオモドキ  →  カエルアンコウモドキ
A. flagellatus ムチイザリウオ  →  ムチカエルアンコウ
新和名の説明・他 本亜目魚類の形態がカエルを連想させ,また英名がfrogfishであることから本科の基幹名としてカエルアンコウを採用.「ヒメヒラタイザリウオ」は瀬能・川本(2002)で提唱された.なお,改名案にはイサリウオ(漁る魚の意)も検討されたが,旧名を連想させない名称が適切であるとの意見を重視した.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Lophiiformes アンコウ目  →  カエルアンコウ亜目
Antennarioidei イザリウオ亜目
科・亜科 Antennariidae イザリウオ科  →  カエルアンコウ科
Antennarius イザリウオ属  →  カエルアンコウ属
A. analis ロケットイザリウオ  →  ロケットカエルアンコウ
A. striatus イザリウオ  →  カエルアンコウ
A. hispidus ボンボリイザリウオ  →  ボンボリカエルアンコウ
A. scriptissimus ソウシイザリウオ  →  ソウシカエルアンコウ
A. commersoni オオモンイザリウオ  →  オオモンカエルアンコウ
A. maculatus クマドリイザリウオ  →  クマドリカエルアンコウ
A. pictus イロイザリウオ  →  イロカエルアンコウ
A. coccineus ウルマイザリウオ  →  ウルマカエルアンコウ
A. rosaceus エナガイザリウオ  →  エナガカエルアンコウ
A. nummifer ベニイザリウオ  →  ベニカエルアンコウ
A. dorehensis カスリイザリウオ  →  カスリカエルアンコウ
A. randalli ヒメヒラタイザリウオ  →  ヒメヒラタカエルアンコウ
新和名の説明・他 本亜目魚類の形態がカエルを連想させ,また英名がfrogfishであることから本科の基幹名としてカエルアンコウを採用.「ヒメヒラタイザリウオ」は瀬能・川本(2002)で提唱された.なお,改名案にはイサリウオ(漁る魚の意)も検討されたが,旧名を連想させない名称が適切であるとの意見を重視した.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Lophiiformes アンコウ目     
Ceratioidei チョウチンアンコウ亜目    
科・亜科 Melanocetidae クロアンコウ科    
Melanocetus クロアンコウ属    
M. murrayi セムシクロアンコウ  →  クロアンコウ
新和名の説明・他 日本産本属魚類は本種のみであることから,属の既存和名を採用.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Scorpaeniformes カサゴ目    
科・亜科 Scorpaenidae フサカサゴ科    
Scorpaenopsis オニカサゴ属    
S. diabolus セムシカサゴ  →  ニライカサゴ
新和名の説明・他 本村ほか(2004)で改名済み.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Scorpaeniformes カサゴ目    
科・亜科 Triglidae ホウボウ科    
Chelidonichthys ホウボウ属    
C. ischyrus セッパリホウボウ  →  ツマリホウボウ
新和名の説明・他 近縁種に比較して前後に短縮した体形をしていることから.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Scorpaeniformes カサゴ目    
科・亜科 Psychrolutidae ウラナイカジカ科    
Malacocottus セッパリカジカ属  →  コブシカジカ属
M. gibber セッパリカジカ  →  ヤマトコブシカジカ
新和名の説明・他 日本産本属2種のうちの他種 M.zonurus コブシカジカの名称を属名に採用.種和名は日本海に固有であることから.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Perciformes スズキ目    
科・亜科 Gerreidae クロサギ科    
Gerres クロサギ属    
G. erythrourus セッパリサギ  →  セダカクロサギ
新和名の説明・他 同属他種に比較して体高が高いことによる.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Perciformes スズキ目    
科・亜科 Zoarcidae ゲンゲ科    
Bilabria ミツクチゲンゲ属  →  ウサゲンゲ属
B. ornata ミツクチゲンゲ  →  ウサゲンゲ
新和名の説明・他 ウサは兎の意.顔つきの印象から.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Perciformes スズキ目    
科・亜科 Zoarcidae ゲンゲ科    
Lycodapus アシナシゲンゲ属  →  ヤワラゲンゲ属
L. microchir アシナシゲンゲ  →  ヤワラゲンゲ
新和名の説明・他 体が寒天質で柔らかいことから.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Perciformes スズキ目    
科・亜科 Zoarcidae ゲンゲ科    
Andriashevia テナシゲンゲ属  →  チョウジャゲンゲ属
A. aptera テナシゲンゲ  →  チョウジャゲンゲ
新和名の説明・他 チョウジャは長者の意.属の学名の由来であるロシアの碩学アンドリアシェフに対する褒詞.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Pleuronectiformes カレイ目    
科・亜科 Bothidae ダルマガレイ科    
Neolaeops セムシダルマガレイ属  →  オオクチヤリガレイ属
N. microphthalmus セムシダルマガレイ  →  オオクチヤリガレイ
新和名の説明・他 近縁属の Laeops ヤリガレイ属や Japonolaeops ヒナダルマガレイ属に比べて口が大きいことから.
Osteichthyes  硬骨魚綱  
目・亜目 Tetraodontiformes フグ目    
科・亜科 Monacanthidae カワハギ科    
Rudarius アミメハギ属
R. excelsus セッパリハギ  →  セダカカワハギ
新和名の説明・他 同属他種に比較して体高が高いことから;本種は答申時に採録漏れしていたもの.

引用文献:
Fernholm. B. 1998. Hagfish systematics. Pages 33-44 in J. M. Jorgensen, J. P. Lomholt, R. E. Weber and H. Malte eds. The biology of hagfishes. Chapman & Hall, London.
本村浩之・吉野哲夫・高村直人.2004.日本産フサカサゴ科オニカサゴ属魚類(Scorpaenidae: Scorpaenopsis)の分類学的検討.魚類学雑誌,51: 89-115.
中坊徹次編.2000.日本産魚類検索:全種の同定,第2版.東海大学出版会,東京.lvi+1748 pp
瀬能 宏・川本剛志.2002.日本から初記録のヒメヒラタイザリウオ(新称).I.O.P.Diving News, 13: 2-6.