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「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」に関する意見および特定外来生物・未判定外来生物に選定すべき魚類の提案 |
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平成16年8月1日
環境大臣 小池百合子 殿
日本魚類学会会長 西田 睦
同学会自然保護委員会委員長 後藤 晃 |
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日本魚類学会は、さまざまな外来生物が引き起こす問題の軽減・解決に向けた積極的な施策を支援するものとして、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が先の国会で可決・成立したことを高く評価しています。 われわれの学会が関連する魚類では、これまでにも数多くの種が海外から意図的に導入され、移殖によって国内での分布・生息域を拡大してきた経緯があり、特定の外来種による問題も顕在化しています。外来種が在来の生物多様性を脅かす主因のひとつとする認識が広まるなか、これまでの導入や移殖のありかたを見直す必要性が指摘されるようになってきました。また、意図的な導入や移殖は、対象となる魚種の利用を予定してなされるため、対象魚が生態系や水産業に悪影響を与えることが現実化した場合でも、対象魚の利用がもたらす効用との対立が生じる事例も出てきています。 しかし、今回の法律が提案・成立した背景には、われわれが外来生物を積極利用するにあたって、その効用だけでなく副作用にも十分配慮した上で、適切かつ厳格な管理が求められるようになってきたという事情があります。こうした状況に対処すべく今回の法律が成立したことに照らせば、受益者による有効利用が求められる外来種であればあるほど、その副作用を十分に考慮することが必要であり、悪影響が懸念されあるいは現実化しているものは、適正な管理が厳密に行われることを利用の前提とすべく、特定外来生物または未判定外来生物(以下、「特定外来生物等」)として選定されるべきです。 利用実績がありながら悪影響が憂慮される外来種の場合、特定外来生物等に選定されることで従来の利用が制限されることを憂慮する意見も、当然あり得ます。しかしながら、特定外来生物等に選定されるべき影響が憂慮されながら、その利用実績をもって選定が躊躇される事態が生じるとすれば、それはこの法律の理念に反するものであり、その存在意義を揺るがしかねないことを懸念いたします。 今回の意見募集は、基本方針(案)に関するものですが、現時点で、日本魚類学会自然保護委員会が特定外来生物および未判定外来生物に選定されるべきであると判断する魚類を以下に列記し、今後の選定に向けてぜひ参考にされますよう要望いたします。
- 特定外来生物
- チャネルキャットフィッシュ
- ブラウントラウト
- カワマス
- ブルーギル
- オオクチバス
- コクチバス
- カワスズメ
- 未判定外来生物
- ガー科
- アミア科
- タナゴ亜科
- アメリカナマズ科魚類(特定外来生物に選定されているもの以外)
- カワカマス科(パイク科)魚類
- ケツギョ属
- オヤニラミ属
- モロネ科(狭義)
注:Johnson (1984)の分類体系によるモロネ科である。
- スズキ属(中国産スズキおよびタイリクスズキ)
- ペルキクティス科(狭義)
注:Johnson (1984)を参照のこと。オーストラリアおよびアルゼンチン、チリの淡水域原産の魚類である。
- ペルカ科(パーチ科)
- サンフィッシュ科(特定外来生物に選定されているもの以外)
- タイワンドジョウ科
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<本件に関する問い合わせ先>
〒041-8611 函館市港町 3-1-1
北海道大学水産学部育種培養学講座 内
日本魚類学会 自然保護委員会
委員長 後藤 晃
TEL 0138-40-5536; FAX 0138-40-5537
e-mail: akir@pop.fish.hokudai.ac.jp |
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